食生活の欧米化にともない、日本人の食物繊維摂取量は年々減少してきています。それに反比例するように、欧米型の生活習慣病が年々増加している現実を受けて、厚生労働省では1日の食物繊維目標摂取量を成人男性20g、成人女性18gと定めました。しかし1日の目標摂取量と実際の摂取量には大きな差が生まれています。成人女性では実際の摂取量が目標量に対し、3.7gも不足している状況です。
食物繊維とは「人の消化酵素で消化できない食品中の難消化性成分の総称」。つまり「食べ物を食べても吸収されずに、体内を通過する成分」のことをいいます。以前は栄養ではなく、食べ物の「カス」のようなものと考えられていました。しかし、食物繊維の重要な働きが解明されるにつれ、「第6の栄養素」として、見直されるようになってきています。
食物繊維には水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」があり、それぞれが異なった働きをしています。
不溶性食物繊維は、体内でほとんど変化しません。そのため、腸に到達すると身体は異物として対外へ出そうと反応します。腸の活動が活発になる訳です。当然、食物繊維だけを排出することはできないため、腸内にある他の食品をまき取りながら、腸の中を早く通過します。その結果、便通がよくなり、便の固さを正常化させ、便の量も増えます。これは、食品が腸内に長く止まること(便秘)から起こる様々な悪影響―肥満、虫垂炎、ヘルニア、痔などを予防することにつながります。
水溶性食物繊維は、水分を吸収して膨らみ、他の食品と混ざり合いゼリー状になって消化管をゆっくり通過します。食べ物を消化吸収する速度を緩めるため、血糖値の急激な上昇を抑える作用があり、糖尿病予防に効果があると言われています。腸内では、古い便から発生する有害な物質の発生を抑え、食品の発酵分解を行う有益な細菌を増やし、腸のぜん動運動を活性化して、排便を促します。また、余分な塩分、コレステロールなどをガムのように吸着して、体外に出す作用があり肥満をはじめ、動脈硬化、高脂血症などの生活習慣病に役立つと言われています。
「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」は、どちらも私たちの健康を維持していくために必要不可欠な栄養素ですが、多くの食品は1:4の割合で「不溶性食物繊維」の方が多く含まれており、そのため、特に「水溶性食物繊維」が不足していると言われています。食物繊維が多く含まれているとされる食品はいくつかありますが、その中でも大麦の食物繊維は豊富!さらに、大麦は水溶性・不溶性の2種の食物繊維がバランス良く含まれている数少ない食品なのです。